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GAM(Google Ad Manager)で始めるWebメディアの広告収益化とは?

突然ですが、皆さんは「GAM」というものをご存知でしょうか。
GAMとは「Google Ad Maneger」の略称で、これまでDFP(DoubleClick for Publishers)と呼ばれていたアドサーバーおよびツールのことを指します。

ここまでのたった2文を読んだだけでも、

GAMに対する疑問

  • え?Google Ad Manegerって?
  • そもそも旧DFP(DoubleClick for Publishers)自体を知らないんだけど。
  • ん?アドサーバーって?
  • そもそもGAMの読み方がわからないし・・・ジーエーエム?ガム?ギャム?

といったように、GAMを知らない方に対して、「一言で理解してください。」というのは無理があります。

とはいえ、実はWebメディアやアプリの収益化を行う上で、このGAMというものは非常に重要な役割を果たします。
そこで今回の記事では、Webメディアやアプリの担当者が知っておくべきGAMとその活用方法について、解説をさせていただきます。

GAM(Google Ad Maneger)とは?

GAM(Google Ad Maneger、以下全てGAMで統一)とは、Googleが提供している自社所有のWebメディアやアプリにおける広告枠を管理するためのアドサーバーおよびツールと説明するとわかりやすいかもしれません。
旧DFP(DoubleClick for Publishers)との違いは特になく、2018年6月27日に実施されたリブランディングによるプロダクト名称の変更でしかありません。

いわゆるアドサーバーのGoogle版ということなのですが、アドサーバー自体がWebメディアやアプリの担当者の方々においても一般的ではありませんので、少し補足を入れましょう。

ちなみに読み方は、アドテク業界でも統一されていないようで、2019年現在では・・・GAM=ギャムだったり、ガムだったりしますが、Google Ad Maneger=GAMに略そうする動きは共通しているようです。筆者の場合には、GAM=ギャムと読んでいます。

【公式】Google Ad Maneger

アドサーバーとは?

アドサーバーとは、自社所有のWebメディアやアプリを対象とした広告配信を行うためのサーバーです。広告在庫の所有者が独自のアドサーバーを構築・保有し、統一された各種指標(インプレッションやクリック数など)の元で、広告出稿者からの依頼に対応するためのシステム全般を指します。

アドサーバーの機能は、主に広告入稿・広告配信・広告枠管理・効果測定・レポーティング等の機能を有していることが一般的で、異なるアドネットワークや準広告を含めて、統一指標・一元管理できることがメリットとされています。

ただし日本の市場においては、ほとんどGAM(旧DFP)が一強であることは間違いありません。

え?広告枠を管理するってどういうこと?

アドサーバー導入していないWebメディアやアプリにおいて、1つの広告枠に配信されるアドネットワークもしくは純広告は常に1つであるはずです。
でもそれは、収益源を1つのアドネットワークに頼る場合に限ります。同じように、より収益性の高い純広告を配信している場合にも同じことが言えます。

でも、もしも1つの枠で複数のアドネットワークや純広告を配信できたら・・・と考えたことはありませんか?

そうです。複数のアドネットワークや純広告の配信管理を行い、最も1インプレッションあたりの配信単価を上げる方法こそが、アドサーバーの導入なのです。もちろん、そのような配信単価の調整は、広告枠の運用者に依存するものではなく、自動最適化を行うものこそがアドサーバーとなります。

なぜWebメディアやアプリの担当者にとって、GAMの知識が必要なのか?

前述のとおり、広告枠を管理できていなければ、1つの広告枠における収益の最大化は行えません。それは即ちWebメディアやアプリの収益化は、広告枠を適切に管理することができると、1枠あたりの収益を最大化することができるということなのです。

以下では、少し具体的に説明をしてきましょう。

広告枠の収益化とは?

例えば、あなたがWebメディアやアプリの担当者だったとして...そのサービスが成長軌道に乗り、広告による収益化が進んでいたとするならば、おそらく社内外より広告出稿依頼が多くなってくることでしょう。

担当者からすると1つの広告枠における出稿数には限りがある状態となりますので、広告収益を最大化するためには「インプレッション保証の純広告の導入」や「余剰な空き枠の活用」が必要となってくるのではないでしょうか。
このような状態に陥ってしまうと、「これ以上の収益化は無理!」と担当者を悩ませる原因となってしまうことでしょう。

GAMを導入するとどうなるのか?

これらWebメディアやアプリの担当者を悩ませる課題は、GAMを導入することで解決可能です。

GAM導入で実現できること

  • 1つの広告枠で複数アドネットワークや純広告を運用することができる
  • アドネットワークや純広告における異なる広告指標を統一することができる
  • ユーザーのターゲティング配信ができる
  • ダイナミックアロケーション機能によりCPM単位での収益最大化を行うことができる
  • フリークエンシーキャップ機能により同一ユーザーに対する表示回数の制限ができる

GAMは担当者にとって多くのソリューションを備えたアドサーバーですが、例えばダイナミックアロケーションやフリークエンシーキャップのように、GAMを使用したことがない方にとっては理解がしづらいものだと思います。

そこで、GAMで実現できることの説明を行う前に、まずはGAMを活用イメージから説明していきたいと思います。

まずはGAMの活用イメージを考えよう!

GAMの概念

GAMはWebメディアやアプリの広告枠を一元管理し、各種指標の統一とCPM単位での配信単価の自動調整を行うことで、広告の収益性を高めることを目的としたGoogle社製のアドサーバーと理解してください。
上記の説明は、厳密には少し異なる点もありますが、まずは全体をざっくり頭に入れておきましょう。

GAMでは、広告ユニット単位で広告タグが生成させます。この広告枠をWebメディアやアプリ内に設置し、広告配信が行える広告枠として使用していきます。
広告ユニットは広告在庫(配信可能な広告枠および配信可能数)という言葉で表現されることが多く、広告ユニットには複数の広告申込情報が紐付く形となっています。
さらに、広告申込情報の下にはクリエイティブが紐付く形となりますが、クリエイティブには純広告/自社広告などのGAMの書式に基づくもの以外にも、連携可能なADN*1/SSPであれば、任意のタグを配信することができるようになっています。

*1:ADNはAd Networkの略称です。

広告による収益性を高めるために、広告申込情報に紐付くADN/SSP/純広告等の競合と広告ユニットに紐付く広告申込情報を競合させ、その瞬間にもっともCPMが高い広告を広告枠に対して配信を行います。

GAMで使用される用語について

GAMで広告配信は、以下の手順で行われます。

  1. 広告ユニットを作成する
  2. 広告ユニットより生成した広告タグをWebメディアやアプリに設置する
  3. オーダーの下に広告申込情報を作成し、会社と配信先の広告ユニット、配信条件を設定する
  4. 広告申込情報にクリエイティブを追加する
  5. オーダーを承認し、配信条件に合致した場合に広告配信が行われる

広告出稿時には必要な入力項目および諸設定の順序が入れ替わるために、初めての出稿する場合には混乱してしまう方が多いと思いますので、「[会社]が[在庫]に対して、[広告ユニット]に合わせた[広告申込情報]と[クリエイティブ]を準備することで[オーダー]が作成される」ということを覚えておくと良いでしょう。

またGAM管理画面のナビゲーションメニューも上記のような階層構造に基づいた配置となっています。

在庫

「在庫」とは、配信可能な広告枠および配信可能数の両方を指しますが、基本的には後者の意味が強いと考えてください。
少しややこしいのですが、Webメディアやアプリ上に広告タグを設置することで、初めて「在庫」が生まれます。配信可能な広告枠および配信可能数は、いずれも商品であり、「まだ売れていない商品=在庫」という考え方に基づくものです。

広告ユニット

「広告ユニット」とは、Webメディアやアプリに設置する広告枠を指します。
GAMにおける広告配信は、広告ユニット単位で指定を行います。広告ユニット単位で対応サイズを予め設定を行った上でタグが生成されるようになっており、広告申込情報を作成する際には広告ユニット側で設定されている対応サイズの中に、広告申込情報で設定した対応サイズが含有された状態となっている必要があります。

広告申込情報

「広告申込情報」とは、配信する広告の配信条件を指します。
[いつ][どこの広告枠で][どのようなクリエイティブを][どれくらいの費用で][どれぐらいのインプレッションで][誰に対して]等の配信条件を設定することが可能です。

クリエイティブ

「クリエイティブ」とは、広告申込情報に紐付ける広告クリエイティブを指します。
クリエイティブには、バナー広告以外にも、html形式やjsスクリプトなどが設定できるようになっています。

会社

「会社」とは、広告主(広告の出稿者)を指します。
GAMでは、たとえ自社広告であってもこのような概念の上に成り立つように設計されています。

オーダー

「オーダー」とは、広告出稿に関する申し込み情報全体を指します。
オーダーを構成する要素の中に、「広告ユニット」「広告申込情報」「クリエイティブ」「会社」の情報を含んでいます。
イメージ的には、オーダー=会社(=広告主)から依頼された案件と考えるとわかりやすいです。

GAMの導入で実現できる5つのこと

1|1つの広告枠で複数アドネットワークや純広告を運用することができる

GAMを導入することで、1つの広告枠に配信可能な広告の種類を増やすことができます。広告の出し分けは、広告配信における条件だったり、その時にもっともCPMが高い広告を配信したりと、様々な配信条件の設定が可能です。
これまで1つのアドネットワークなど配信していた場合などの収益依存型の広告モデルから、複数のアドネットワークやアフィリエイト広告(ASP)、純広告、自社広告をCPMやターゲティングによって、配信コントロールができるという点は、広告収益の最適化という意味で大きなメリットとなるはずです。

2|アドネットワークや純広告における異なる広告指標を統一することができる

一般的に、アドネットワーク毎に広告配信時に計測できる各種指標の基準は、独自の定義の元で成り立っています。
例えば・・・
アドネットワークA社のインプレッション定義:視認可能な領域に広告が配信された時に、1インプレッションとしてカウントする
アドネットワークB社のインプレッション定義:広告配信リクエストが行われた時に、1インプレッションとしてカウントする
というように、計測指標の基準が異なります。
また提供しているサービス基盤自体が異なりますので、文面上は同じ定義であったとしても、誤差が生じてしまうこともあります。
このようにWebメディアやアプリの担当者を悩ます問題の一つとして挙げられる「統一できない計測指標」を、GAMの導入によって解消することが可能です。

3|ユーザーのターゲティング配信ができる

GAMでは、広告申込情報に[地域][時間][ブラウザ][言語][OS][IPアドレス]などの条件を指定した広告配信設定が行えます。
GAMの所有しているユーザーデータを活用した適切なターゲティング設定が行えるため、純広告の販売提案などを有利に進めることができます。

4|ダイナミックアロケーション機能によりCPM単位での収益最大化を行うことができる

GAMの標準機能であるダイナミックアロケーション機能を使用すると、CPMあたりの収益性を高めることができます。
ダイナミックアロケーション機能とは、Google AdSenseとGAMに設定されてる各種広告申込情報を競合させることで、効果的にCPMの向上させることができる機能です。

5|フリークエンシーキャップ機能により同一ユーザーに対する表示回数の制限ができる

フリークエンシーキャップ機能とは、同一のユーザーに対する広告表示回数を制限することができる機能です。
自社広告や純広告、ASP等のアフィリエイト広告を配信している場合には、効率良く広告を切り替えることで、全体の収益性を改善することができます。

GAMは無料で導入できる

GAMはアドサーバーとして高機能・高性能なものですが、1ヶ月あたりの表示回数が9,000万回以下*2の場合には、無料で導入することができます。またこの表示回数には、Google AdSenseの表示回数は含まれません。
仮に1PVあたりの平均表示回数が10回だったとしても、月間100万PV程度のWebメディアやアプリでも表示回数は1,000万回となりますので、無料で利用できる範囲が広いことがわかります。

また1ヶ月あたりの表示回数が9,000万回を超える場合には、有償版のGAM 360(Google Ad Manager 360)に移行する必要があります。

*2:公式ブログを参照:https://adsense-ja.googleblog.com/2011/02/dfp-1-dfp.html

GAMの登録方法

GAMの利用時には、Google AdSenseとのリンクが必要となりますので、新規登録を行う際にはGoogle AdSenseのアカウントで申し込む必要があります。
GAMの申し込みページより、使ってみるボタンを押下した後に表示される手順に沿って登録を進めてください。

GAMのヘルプ

プロダクトのリブランディングに合わせて、GAMの公式ヘルプも大幅にアップデートされています。筆者もGAMの使い方や疑問が生まれた時には、公式ヘルプを参照するようにしています。

【公式】Google Ad Maneger ヘルプ

また旧DFP(DoubleClick for Publishers)で使用されていたパブリッシャーユニバーシティには、DoubleClick for Publishers講座と関連性の高いAd Exchenge講座が用意されており、動画を見ながら、旧DFP(DoubleClick for Publishers)への理解が深められるようになっています。

【公式】Google パブリッシャーユニバーシティ

ただし、2019年7月時点では、パブリッシャーユニバーシティに以下メッセージの表示がされており、おそらく2019年後半にはGAM(Google Ad Manager)版の同様のコンテンツを掲載したサイトが立ち上がるのではないかと思われます。

Google では現在、サイト運営者とパブリッシャーの方を対象とした、まったく新しい学習コンテンツの開発を進めており、今年の後半には提供を開始する予定です。それまでの間、このサイトの既存のコンテンツは更新されません。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

GAM(Google Ad Manager)のまとめ

本記事を通して、Webメディアやアプリの広告収益化を推進するためには、Googleが提供しているGAMが有効であるということをご理解いただけたでしょうか。
とはいえGAMは、やはりベースとしてのITリテラシーやアドテク業界への幅広い知識を有していないと使いこなしづらいツールでもあることは間違いありません。

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ACT3 ONLINE 編集部

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